在宅勤務導入の注意点

昨今、インフルエンザ感染症の拡大に伴い、事業を支障なく継続していくための方法の一つとして在宅勤務が見直されています。また、「仕事と生活の調和のとれた働き方」の実現を模索している会社が、在宅勤務を導入するケースが増えつつあります。本項では、在宅勤務を導入するに当たっての注意点など掲載します。
労働時間算定上の注意点
在宅は会社以外の場所で業務を行うことから、どこまでが労働時間か区別がつきづらく管理が難しい点があります。
- 在宅勤務は、勤務時間帯と日常生活時間帯が混在する働き方であるため、労働時間を算定し難い働き方として、事業場外労働のみなし労働時間制を適用することができます。
- 在宅勤務についてみなし労働時間制を適用する場合であっても、現実に深夜に労働した場合には、深夜労働に係る割増賃金の支払いが必要となります。(労働基準法第36条及び第37条)
在宅勤務を行う社員との間でトラブルになりやすいのが、社員が自分の判断で行った深夜・休日勤務です。こうしたトラブルを防ぐために、在宅勤務規程等で事前に会社の許可を得るように定めておくことをお勧めします。
みなし労働時間制が適用されている社員が深夜又は休日に業務を行った場合であっても、少なくとも、就業規則等により深夜又は休日に業務を行う場合には事前に申告し会社の許可を得なければならず、かつ、深夜又は休日に業務を行った実績について事後に会社に報告しなければならないとされている場合において、深夜もしくは休日の労働について社員からの事前申告がなかったか又は事前に申告されたが許可を与えなかった場合であって、かつ、社員から事後報告がなかった場合について、次のすべてに該当する場合には、当該労働者の深夜又は休日の労働は、使用者のいかなる関与もなしに行われたものであると評価できるため、労働基準法上の労働時間とはなりません。
- [1]
- 深夜又は休日労働について、使用者から強制されたり、義務付けられたりした事実がないこと。
- [2]
- 当該労働者の当日の業務量が過大である場合や期限の設定が不適切である場合など、深夜又は休日に労働せざるを得ないような会社からの黙示の指揮命令があったと理解し得る事情がないこと。
- [3]
- 深夜又は休日に当該労働者からメールが送信されていたり、深夜又は休日に労働しなければ生み出し得ないような成果物が提出された等、深夜又は休日労働を行ったことが客観的に推測できるような事実がなく、使用者が深夜・休日の労働を知り得なかったこと。
労働者災害補償保険法上の注意点
業務が原因である災害については、業務上の災害として労災保険給付の対象となります。
したがって、自宅における私的行為が原因であるものは、業務上の災害とはなりません。
業績評価等の取扱い
在宅勤務は社員が職場に出勤しないことなどから、業績評価等について懸念を抱くことのないように、在宅で行う業務について評価の仕方や、給与の設定について構築しておく必要があります。
なお、在宅勤務を行う社員について、他の社員と異なる賃金制度等を定める場合には、就業規則を作成・変更し、届け出なければならないこととされています。
(労働基準法第89条第2号)
通信費及び情報通信機器等の費用負担の取扱い
在宅勤務に係る通信費や情報通信機器等の費用負担については、通常の勤務と異なり、在宅勤務を行う社員がその負担を負うことがあり得ることから、事業主が負担する場合の限度額、さらに社員が請求する場合の請求方法等については、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則等において定めておくことが望ましいとされています。特に、社員が情報通信機器等、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、就業規則に規定しなければならないこととされています(労働基準法第89条第5号)。
まとめ
在宅勤務を行う場合には、在宅で行う業務の範囲、労働時間の取り扱い、評価・給与の扱い、秘密保持など、上記のポイントを社員と事前に取り決め、在宅勤務規程の作成、就業規則の改定をして落とし込んでおくことが重要なポイントとなります。
在宅勤務導入に関することは、お気軽にご相談ください。