クロスアポイントメント制度を利用した事業に係る労災保険の適用について(厚生労働省 6月4日)

クロスアポイントメント制度とは 大学、研究開発法人、民間企業等が機関間でクロスアポイントメントに係る協定書等を締結することにより、教員や研究者等が、複数の大学や公的研究機関、民間企業と雇用契約を結び 「職員」としての身分でそれぞれの機関の責任の下、必要な従事比率 (エフォート)で業務を行うことを可能とする制度です。

厚生労働省は「クロスアポイントメント制度を利用した事業に係る労災保険の適用について」の通達を6月4日に出しています。

 

この通達では主に次の内容が定められています。

1.出向元事業と出向先事業に係る労災保険の適用については、出向目的及び出向契約等に基づき労災関係の所在を判断して決定することとされています。

 クロスアポイントメント制度は、在籍型出向の形態を採用することが多いとされているため、出向元事業または出向先事業のいずれかが一括して給与を支払う場合については、給与を一括して支払う事業が労災保険料を一括して納付することとして差し支えありません。

2.給与を一括して支払う事業が労災保険料を一括して納付する場合であって、労災保険料を一括して納付していない事業又は労災保険料を一括して納付している事業において業務災害等が発生 したときにおいては、クロスアポイントメント制度を利用した労働者は在籍型出向により出向元事業及び出向先事業のいずれにおいても労働契約を締結しているため、当該労働者は複数事業労働者として、各事業の給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として保険給付が受けられます。

通達とリーフレットはこちら↓

https://www.mhlw.go.jp/hourei/ドキュメント/ツチ/T210608K0060.pdf

 

クロスアポイントメント制度と兼業、共同研究の整理

 

クロスアポイントメント 制度

兼業

共同研究(契約)

概要

組織間でのクロスアポイントメント協定により従事⽐率や社会保険の⽀払い者を取り決め、研究者はそれぞれの機関と個別に労働契約を結ぶ

収⼊を得るために本務以外の仕事を⾏うこと

主に共同研究を⾏う両組 織間における成果の共有 の在り⽅についての取り決め(共同研究契約)を⾏う

手続

両組織のクロスアポイントメント協定の締結および各組織と個⼈間の雇⽤契約が必要

副業・兼業における労働時間や収⼊等を報告

共同研究契約の締結のみ

業務時間

従事⽐率を協定内で設定可能

原則として本業の業務時間外のみ

取り決め無し

業務環境

協定の内容次第で双⽅の組織の研究設備の利⽤や機微情報等にアクセス可

⼤学等のリソースは兼業業務で使⽤することはできない

⼤学業務として実施共同 研究先のリソースの利⽤には制限がある

知財の扱

組織間協定で取り決め可能

組織間の定めがなく、個⼈と組織間で定める場合がある

組織間の契約で取り決め可能

組織間協定で給与のインセンティブ設計が可能

兼業先の収⼊が追加収⼊になる

共同研究の成果が所属機関でどのように評価されるかによる

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