月末退職は社会保険料が2倍?
退職するときに、人事部の給与計算担当の方から、「月末に退職すると社会保険料が2か月分差し引かれます」という説明を聞いたことはありませんか?
月末に退職すると社会保険料はいつもの2か月分になるのに、月末でも一日前だったら1カ月分。なんだかスッキリしないですね。
実はこれは、健康保険法や厚生年金保険法に定められた方法なのです。
社会保険料の納付のしかた
法律上、健康保険料と厚生年金保険料は1か月単位で給与から差し引くことになっています。
会社はその月の社会保険料を翌月末までに年金事務所に納めるため、多くの会社で今月分の社会保険料を翌月の給与から差し引いています。
・9月分の社会保険料 → 10月末日までに納付
→ 10月に支払われる給与から徴収
そのため、入社した月は社会保険料がとられておらず、その翌月から徴収されているのです。
逆に退職したときの保険料は、健康保険法や厚生年金保険法で「被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月まで徴収する」と定められています。
被保険者の資格を喪失した日とは
退職すると退職日の翌日から健康保険と厚生年金から脱退します。退職日の翌日のことを喪失日といいます。
「被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月」とは、
(1) 9月30日に退職したら喪失日はその翌日の10月1日
→ 喪失日が属する月の前月は9月
(2) 9月29日に退職したら喪失日はその翌日の9月30日
→ 喪失日が属する月の前月は8月
9月に支払われる給与からは8月分の保険料を徴収します。
(1)のケースではこれに加えて、9月分まで徴収しなければならないため、8月分と9月分の2か月になります。
こうした理由から、月末退職の場合は社会保険料が2か月分になるのです。ただし、当月分の社会保険料を当月の給与で徴収する場合には、最後の月で2か月分の保険料を徴収することはありません。
9月末退職者に注意!
ここで注意したいのは、その徴収額です。
9月末退職者の社会保険料は8月分、9月分の2ヶ月となりますが、9月の社会保険料はその年の定時決定(算定基礎届)により変更されています。
単純に今までの社会保険料の2倍を徴収しただけでは、正しい金額を徴収できていない場合がありますので注意が必要です。
多くの場合、定時決定で算定された新しい社会保険料の徴収は10月支給給与から始まるため、つい見落としてしまいがちなポイントです。
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